[自己啓発/読書] 落ちこぼれ万歳(水野 博之 著)

自分を生きたアントレプレナー列伝


オススメ度 ★★★★★


Posted by Ryuichi Yamashita on Dec 4, 2016

本書は元松下電器産業副社長の水野氏が2007年に書かれたものですが、内容は10年経った今読んでも色あせず、最後まで一気に読み進めることができました。私はこの本を読んで当の水野氏について初めて知り興味を持って色々調べたのですが、誠に残念ながらどうやら2014年に亡くなられているようでした。

落ちこぼれ万歳

オススメ度:★★★★★

内容としては、数々のベンチャー起業家の紹介から始まり、ベンチャー起業家としての心構えや水野氏の考える人生論に至るまで幅広く網羅されていますが、そのどれもが非常に興味深く、起業家やサラリーマンの方々にとっても多くの示唆に富んだ内容になっていると思います。水野氏自身は技術畑のご出身であられるようで、ともすると理系の方が書かれる本は内容が難解になりがちですがそのようなこともなく、全て平易な語り口で書かれているため、集中して読めば数時間で読めてしまう点もオススメです。

中でも特に、アントレプレナーが取るべき行動の着眼点がまとめられている部分が非常に参考になりましたので、少しだけご紹介したいと思います。水野氏曰く、起業家の取るべき戦術として、

①流れにつく
②規制緩和を狙う
③セカンドソースから出発する

などといった手法を考慮すべきという指摘がありました。

それぞれの戦術は奥が深いため、考察し出すと止まらなくなりますが、自社のビジネスに置き換えた場合に具体的にどのような戦術が考慮できるか考えてみると面白いのでは、と思います。例えばの話で、規制緩和を例にとりましょう。現在進行形で空き家問題は不動産市場でかなり喫緊の課題になりつつありますが、この問題解消の一つの手段として空き家を民泊施設として貸し出すという方法が考えられるかと思います。ただ、日本では残念ながら旅館業法に関する規制などのために、すべての設備を今すぐ民泊施設として開放できない事情があることは周知の事実かと思います。最近とみに、このような法規制を緩和するべく、政府を中心に動きが見られますが、この流れが続けば、間違いなく民泊市場という市場は一気に拡大するものと思われます。この点、①の「流れにつく」という戦術と似ていますが、規制緩和が行われつつある市場で勝負する、という戦術は多くのベンチャー企業にとって有効であると思われます。

他にもいろいろと考察は可能であろうと思われますので、また別途「起業」テーマでこれら内容を詳しく取り扱いたいと思いますが、このあたり自社の戦術を一考されたい方は是非本書を手にとってみてください。